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下方修正の理由は、「工場などから排出されるエーロゾル(酸』性雨のもとになる硫酸微粒子など)が太陽光を散乱し、気温上昇を抑える効果を新たに考慮したため」ということです。
つまり、「酸性雨は地球温暖化を妨げる」と仮定しているのです。
エーロゾルの排出量を1990年の水準に抑えると、最大4.5℃の温度上昇が引き起こされることが分かります。
この場合、約1メートルの海面上昇が引き起こされると見られています。
これは、エーロゾルの発生が1990年水準を下回れば、より大きな温度上昇と海面上昇がもたらされる可能性があることを意味しています。
確かにこの仮定は、現在の温度上昇などをうまく説明することができます。
しかし、意味をよく考えて用いなければ、将来的に大きな問題を引き起こす可能性があります。
「もし公害防止技術の進歩によって硫黄酸化物の排出が止まった際には、温暖化が加速されることになる。
だからある程度の酸性雨は許容すべきだ」「温暖化防止のために硫酸微粒子が有効である」など、本末転倒した結論が出てくることになりかねないからです。
実際に、IPCCに対して「火山噴火による冷却効果をまねて大気中に硫酸微粒子を放出する」という提案が出されているそうです。
IPCCは、「このような方法は一般的に言って、効果が少なく、維持に高い費用がかかり、多くの場合ほとんど理解されていない深刻な環境などへの影響がある可能性が高い」としてこの案を否定しています。
しかし、「究極のシナリオ」へと向かったとき、再び浮上してくることは十分に考えられるのです。
酸性雨は地球温暖化を加速する中国の桂林、雲南省の石林、イギリスのドーバー海峡のホワイトクリフなどは、巨大な炭酸カルシウムの層でできています。
この層に酸性雨が降り注ぐと、炭酸カルシウムが分解して膨大な量の二酸化炭素が発生するかもしれません。
この二酸化炭素は、地球温暖化のスピードを著しく速める可能性があります。
このように酸性雨は、太陽光を散乱することで一時的に地球の温度を下げることもありますが、やがて地球温暖化を加速することになると考えられるのです。
「気温4.5度、海面水位1m上昇」を覚悟しよう現実的には、「酸性雨(エーロゾルの影響)」を考慮するのはしかたないでしょう。
しかし、地球温暖化への対応が遅れ、最悪の状況になりそうなとき再浮上するであろう「硫酸微粒子の大気圏放出」という手段は絶対に避けなければなりません。
そこでリスクを最大限に低減するためには、より厳しいシナリオを前提に対策を講じる必要があります。
現状で考慮すべき「より厳しいシナリオ」として、エーロゾルの排出量を1990年レベルで一定とした「2100年に気温4.5度、海面水位1m上昇」を採用すべきだと思います。
ただし、技術革新によって酸性雨が克服された場合、より大きな気温と海面水位の上昇があり得ることは覚悟しなければなりません。
大気中に放出されたエーロゾルの影響は長くても1年しか続きませんが、温室効果ガスは数十年から数百年(長いものでは数万年)も大気中に留まります。
これは、数十年後に資源の枯渇などによって化石燃料の使用が止まったとき、冷却効果が消えて温暖化がかえって進行するという皮肉な結果となることを意味します。
だからこそ、温室効果ガスは直ちに、しかも大幅に削減しなければならないのです。
IPCCは、硫酸微粒子が減ってきていることを理由に次回のレポートで「2100年の気温上昇を2℃から2.5℃に上方修正する」もようです。
食糧不足で最も深刻な国は「日本」。
食糧が世界全体で不足することについては前述しましたが、日本も大変な食糧不足になるかもしれません。
環境庁は、「平均気温3度の上昇で、水田からのお米の収穫量は東北、北海道で増加するが、西日本では現品種のジャポニカ米は高温障害で栽培が難しくなる。
またトウモロコシが1〜5%増え、小麦は最大22%減少する。
また収穫量の年によるばらつきは、北日本では減少し安定するが、西日本では増加し、凶作・豊作の差が大きくなる」と言っています。
これを見た限りでは、それほど深刻さは伝わってきません。
しかしこの予想は、「海面上昇に伴う塩害」「オゾン層破壊による有害紫外線の増加」「酸性雨の増加」などを考慮していません。
日本人は、これらの要因が複合したとき、より大きな影響が出ることを覚悟しておかなければなりません。
ところが日本は、農業生産の自給率が30%足らずという低さにもかかわらず、いまだにコメの栽培面積を減らす減反政策を進めています。
地球環境問題の悪化と世界の人口爆発で、食糧不足が深刻になることは目に見えています。
そのとき、最も深刻な影響を受けるのは、間違いなく日本なのです。
コラム:本当に途上国の人たちは日本のようになりたいの?日本は、世界のGDP(国内総生産)の2割近くを占める超大国となりました。
しかし、この偉業(?)の背景には、世界の資源の10%以上を使い、二酸化炭素の5%を排出しているという「大量消費社会」があります。
そして、韓国、中国をはじめとするアジア諸国が、日本に追いつけ追い越せとばかりに、「大量消費社会」を目指して突き進んでいます。
もっとも、最近の通貨危機でそのスピードが減速しているために、地球環境破壊にややブレーキがかかっているというのは何とも皮肉なことです。
ところで、「アジア諸国(発展途上国)に対して経済成長するなというのは物質的栄光を欲しいままにしてきた日本人が言うべきではない。
それは撤慢というものだ。
どこの国でも日本のようになりたいのだ。
みんなが繁栄を願っているのだ」というような声をよく耳にします。
確かにそれも一理あるでしょう。
しかし、本当に「みんなが」そう思っているのでしょうか。
1992年のモントリオール国際環境会議の基調講演の中で、インド代表のサンダーラル・パフグナ氏は、「私たちは決して貧しくない、私たちは豊かだ。
私たちは何も欲しくない、ダムも電気もお金も。
…私たちは開発を求めていない。
開発は自然を殺すこと、一時の富をもたらすが永遠の生活と幸せを失う。
私たちは幸せを求めている。
それには少しの土地と少しの水、そして少しの食べ物で十分なのだ」と述べています。
また、フィリピン代表は、「あなた方(先進国)のお金がどのような結果を引き起こしているか、知って欲しい。
私たちの国では5%の人が80%の富を独占している。
あなた方のお金を欲しがっているのはその5%だ。
あなた方のお金は、私たち95%の生活をより悲惨にしている。
これ以上のお金をばらまくことは、私たちの国を滅ぼすことになるだろう」と言っています。
「(日本のような)繁栄を願っているのは、国費留学生などで日本を見てしまった一部のエリートたちだけです。
いまでも多くの人々は、生活していくのに精一杯で日本がどんなところで、どこにあるのかなど興味ありません。
ましてや、この貧困が日本など先進国によってもたらされていることなど知る由もありません。
この私も、日本は砂漠の国だと思っていました。
というのも、私たちの国の森林をどんどん伐採して日本に輸出しているのを見ていて、日本には木がなくて可哀想だなと思っていたのです。
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